妻が殺害した夫の遺体を切断した、いわゆる“バラバラ殺人事件”が起きた。つい先月にも兄が妹を殺し、同様に遺体をバラバラにした事件が起きていて、こちらは家族が加害者と被害者になったことで、家族の心もズタズタだろう。 遺体を切断…、なんともおどろおどろしいことだ。「バラバラ」という言葉がいささか俗っぽいためかNHKでは「遺体切断事件」といった表現をとっているが、他のマスコミはたいてい「バラバラ」を使っている。 カタカナで書かれることの多い「バラバラ」は、使い方には大きく二通りある。「ばらす」という“分解”と、「ばらまく」という“分散”の意味で、それぞれを強調するために重ねている。それには悲惨、悲壮感もあろうが、呆れて「あーぁ」と言い出しそうな軽さもある。 今回の殺人事件では遺体を分解した上に、あちこちに切断遺体を分散して捨てている。“バラして、ばらまいた”からバラバラではなかろうが…。通常ならモノを2つに分解するくらいでは「バラバラ」とは言わず、「バラす」と言うだろう。バラバラなら「バラ」の2倍、4つに分解…まさか数学ではないからそうは言わないだろうが、遺体を切断すること自体が強烈であり、かりに2つに切断するだけでも「バラバラ」と強調されるだろうと思う。 |