010.. バラバラ
2007/01/10
 妻が殺害した夫の遺体を切断した、いわゆる“バラバラ殺人事件”が起きた。つい先月にも兄が妹を殺し、同様に遺体をバラバラにした事件が起きていて、こちらは家族が加害者と被害者になったことで、家族の心もズタズタだろう。
 遺体を切断…、なんともおどろおどろしいことだ。「バラバラ」という言葉がいささか俗っぽいためかNHKでは「遺体切断事件」といった表現をとっているが、他のマスコミはたいてい「バラバラ」を使っている。
 カタカナで書かれることの多い「バラバラ」は、使い方には大きく二通りある。「ばらす」という“分解”と、「ばらまく」という“分散”の意味で、それぞれを強調するために重ねている。それには悲惨、悲壮感もあろうが、呆れて「あーぁ」と言い出しそうな軽さもある。
 今回の殺人事件では遺体を分解した上に、あちこちに切断遺体を分散して捨てている。“バラして、ばらまいた”からバラバラではなかろうが…。通常ならモノを2つに分解するくらいでは「バラバラ」とは言わず、「バラす」と言うだろう。バラバラなら「バラ」の2倍、4つに分解…まさか数学ではないからそうは言わないだろうが、遺体を切断すること自体が強烈であり、かりに2つに切断するだけでも「バラバラ」と強調されるだろうと思う。

009.. そうそう
2007/01/09
 何となくラジオを聞く。今日、朗読で遠藤展子の 「藤沢周平・父の周辺」を取り上げていた。藤沢周平といえば最近、映画の「武士の一分」が話題だ。山田洋次監督が藤沢作品を次々取り上げ、「たそがれ清兵衛」「隠し剣鬼の爪」に続く三作目。そのいずれもが好評だ。NHK番組でも藤沢作品が大人気だ。遠藤展子さんはそんな藤沢周平の娘さんで、文豪の父のことを幾つか書かれている。そのうちの一冊を朗読している番組を聴いていたわけだ。内容が(展子さんのいわゆる“産みの母”は亡くなられていて、後のお母さんと藤沢周平の出会いが進展して)父と母の結婚式に至る部分で、感慨を込め『自分の両親の結婚式に参加できる子供なんて、そうそうはいないのですから』(聞き取りなので原文通りか不明)というものだった。
 今では「そうそう」という言葉はそうそう使われなくなった。「そうそう」は回数が多いことと同時に「〜はそうそう無い」「そうそう〜ない」と必ず否定を伴うのだが、今では「滅多に」という言葉に置き換わっていて、死語に近いのではなだろうか。否定を伴う語は「滅多に」も、さらに強く否定する「決して」でも同じだ。
 死語といえば、昔々は「さうさう」と書いたし、漢字では「然々」「然う然う」だ。そうそう(そういえば)思い出した、「そうそう」は相槌を打つ「そうそう」と語源は同じた。

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