008.. あるこあるこ
2007/01/08
 今日はかみさんと息子の家に行き、1歳の孫の相手をした。ボタンを押すと童謡が流れ出す小さなモチャがあって、孫は時々そのボタンを押した。何曲もある中で「あるこあるこ」で始まる歌を押す回数が多いようだ。(この歌はアニメ「となりのトトロ」の挿入歌「さんぽ」。原作では 『あるこう あるこう わたしは元気 歩くの大好き どんどん行こう』) この歌を選ぶ意味はないように思えるが、二人は思い立って散歩に連れて行くことにした。
 マンションの敷地内にあるバリアフリーのスロープが孫のお気に入りのポイントなのだそうだ。ゆるやかで短い傾斜を何度も何度も上ったり下ったりしてご機嫌だ。上り下りの力加減は室内では得られない感覚で、それが面白いのだろ。まだよちよち歩きだから足はもとらない。下る時“つんつん”とつんのめって転んで、ワァーワァーと泣きだす。すぐばぁばぁが抱き上げ、しこたま打ちつけたおでこをよしよしとさすってあやす。ひとしきり泣いた後も、懲りずにまたまた歩きだす。じぃじぃも上り切った所で“いないいないばー”をしてやるとにっこりする。晴れ晴れしい顔でちょっと自慢げにも見える。クルッと回って、またスロープを下る… やがてよろよろし始めた。集中力を欠いてきたようで、また転んでもいけない。そろそろ限界だと思い、やめにして、次のお気に入りポイントの郵便ポスト付近に移った。

007.. のたりのたり
2007/01/07
 今年は聴かなかっが、正月には必ずラジオやテレビからお琴で「春の海」が流れていたものだった。とりわけ地方の中小企業のCMが繰り返し繰り返し流されていて、それには決まって「春の海」をバックに使っていたからだ。そんな「春の海」からまた別の俳句を思い出した。
 与謝蕪村の『春の海ひねもすのたりのたりかな』だ。そもそも俳句には題名がないが、まるで「春の海」がこの句の題名のようだ。「のたりのたりかな」は8文字、あれあれ?この句は“字余り”だったっけ?と思ったが、よくよくみると「ひねもす(終日)のたり」「のたりかな」と七・五で区切れている。「のたりのたり」と続くのではなく「のたり、のたり」だった。この切れ目の空間こそ一層とゆったり波打っている情景を与えている。凄いと改めて感心した。
 「〜り」という言葉には「〜る」という原型があったり、「り」を取った重畳語も同時に存在していることが多い。しかし「のたうつ」「のたくる」という言葉はあるものの「のたる」はないし、「のたのた」という表現も聞かない。「のたりのたり」はどの辞書にも載っているが、たぶん蕪村の創作語だと想像した。まるで蕪村の登録商標のようだ。「のたりのたり」を使った俳句があっても「春の海」を超えるたものはないだろうし、他に「のたりのたり」を使ったもの全てこの俳句に“あやかった”ものでしかない。つくづく凄い言葉だと、またまた感心した。

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