002.. ちびりちびり
2007/01/02
 寝正月を決め込んでうとうとと過ごした。いつまでも寝ているわけにもゆかないからのこのこと布団から出る。今度は餅を肴にちびりちびりと呑む。と言ってもこれはワイン。歳暮のおすそ分けとして年末に頂いた高級品なのだそうだ。甘くて、あまり高級品とは思えないが、ワインに詳しいわけでもない。もともと私は自宅で酒を呑むことはない。呑めないのではなく呑まないだけだが、酒も長く呑まない生活をしているとすっかり弱くなった。
 たぶん「ワインをちびりちびり…」なんてことはあまり言わないだろう。「ちびりちびり」は清酒とか焼酎とか、日本固有の酒にふさわしい言葉だから。これを「ちびちび」と表現すると量は少ないもののピッチが早い感じがするものだ。「り」を付けると付けないでスピード感が違うわけだ。
 語源の「ちび」は通常「小さい」ことを意味して、子供に対してならいいのだが、大人に使うと悪口になりかねない。「ちびりちびり」の「ちび」は小さいではなく「少ない」の意味。そして動詞の「ちびる」は、これは“少し漏らす”ことに決まって使われ、漏らすものの対象は…。おいおい、アルコールがぐるぐる回ってきて、変な方向に向いてきた。

001.. ごーんごーん
2007/01/01
 大晦日、年越しソバを作っていた。小さく開けた窓から「ごーんごーん」と除夜鐘の音が聞こえてきた。近くには寺は無いので、かなり遠くから届くのだろう。こんなことは日常ではなかったので、静寂と風向きの関係で聞こえたのだろう。
 そんなことを思っていると、「もう年を越したよ」とかみさんの声。テレビから「あけましておめでとうございます」と聞こえてくる。やれやれ、“年越しソバ”が“年明けソバ”になってしまった。新年早々ドジを踏んでしまったものだ。
 まだまだ鐘の音は聞こえていた。そもそも除夜の鐘は百八つ目で新年を迎えるものだと思っていたが、必ずしもそうでもないらしい。中には新年になって打ち始める寺もあるようだ。
 「ごーんごーん」とはいうものの、梵鐘は余韻が消えてから次を打たなければ割れる可能性もあるので、決して次々打ってはいけない。単に厳かに打ってるだけではない。余韻も長いからとうぜん間隔は長く、だから正しくは「ごーん」だろうが、やはり表現は「ごーんごーん」になってしまう。正確な表現なら「ぐわぁーーん」とか、今風な書き方で「ご〜ん」とか色々あろうから、「ごーんごーん」は深い理屈抜きの擬態表現だ。

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