寝正月を決め込んでうとうとと過ごした。いつまでも寝ているわけにもゆかないからのこのこと布団から出る。今度は餅を肴にちびりちびりと呑む。と言ってもこれはワイン。歳暮のおすそ分けとして年末に頂いた高級品なのだそうだ。甘くて、あまり高級品とは思えないが、ワインに詳しいわけでもない。もともと私は自宅で酒を呑むことはない。呑めないのではなく呑まないだけだが、酒も長く呑まない生活をしているとすっかり弱くなった。 たぶん「ワインをちびりちびり…」なんてことはあまり言わないだろう。「ちびりちびり」は清酒とか焼酎とか、日本固有の酒にふさわしい言葉だから。これを「ちびちび」と表現すると量は少ないもののピッチが早い感じがするものだ。「り」を付けると付けないでスピード感が違うわけだ。 語源の「ちび」は通常「小さい」ことを意味して、子供に対してならいいのだが、大人に使うと悪口になりかねない。「ちびりちびり」の「ちび」は小さいではなく「少ない」の意味。そして動詞の「ちびる」は、これは“少し漏らす”ことに決まって使われ、漏らすものの対象は…。おいおい、アルコールがぐるぐる回ってきて、変な方向に向いてきた。 |