中国の ご 方言のことじゃなーんで


ここは、いわゆる広島弁の中でも呉地域の方言を集めたものです。胤森弘が書き残した
「呉方言50年の衰微」から使用例を抜粋し、私が方言を喋り 内容を補足しました。
「呉方言50年の衰微」とは記述での注意点著者・胤森弘と私呉方言の特徴

あ行さ行た行な行は行ま行や行ら行ワ/ン

  整理番号|呉方言('は強アクセント)|共通語で意味|資料記号|現代の使用頻度 A:知らない ~ C:よく使う

 
283
 
グァ'イガワリー
病気をしている
 
H
C
 
 
アンター グァイガワルカッタン ジャゲナノー
 
 
あなたは 病気だった のだそうですね
 
 
補足:
「不都合な」の意味合いでは295「グツガワリー」を使う。
 
 
 
943
 
クイクサシ
食べ残り、食べ残し
 
S
 
 
クイクサシナンカー クャーセンド
 
 
食べ残りなどは 食べはしないぞ
 
 
補足:
共通語では「くいさし」と言うだろう。
 
 
 
944
 
'イダス
食べはじめる
 
S
 
 
アツイガ タベダシタラ モノモ イワンノー
 
 
あいつが 食べ始めたら ものも 言わないねえ
 
 
 
284
 
グイビ(グイミ)
ぐみ
 
HFN
B
 
 
アンマリ グイビワ スキジャーナイノー
 
 
あまり ぐみは 好きではないねえ
 
 
 
285
 
~クサス
中途半端で止める
 
HKF
C
 
 
ヤリクサシニシテ ヤメナヨ
 
 
やりのこしにして やめるなよ
 
 
補足:
943「クイクサシ」も、この用語のひとつ。“やる”で「ヤリクサス」なら“する”は401「シクサス」となる。
 
 
 
286
 
クジュー'クル
だだをこねる
 
SHKGIN
A
 
 
アンマリ クジュークルケー カシュー ヤッタヨ
 
 
あまり だだをこねるから 菓子を やったよ
 
 
 
287
 
クズケル
くずれる
 
SK
A
 
 
アノ ガキャー クズケルケー モー イクナヨ
 
 
あの 崖は 崩れるから もう行くなよ
 
 
 
288
 
クスバイー
くすぐったい
 
SMHN
C
 
 
クスバイーケー サワンナヨ
 
 
くすぐったいから さわるなよ
 
 
 
289
 
クスボ'
くすぶる、けむる
 
HKG
B
 
 
ハヨー ケセーヤー、 クスボリョールド
 
 
早く 消せよ、 くすぶっているぞ
 
 
 
290
 
クソゲドー
(卑罵語で)バカヤロー
 
MF
B
 
 
ヤリャーガッタノー クソゲドーガ
 
 
やったな、ばかやろうが
 
 
補足:
「クソ」は強調で付ける語で、「クッサリ」とも。ゲドーは「下郎」。私の時代は「クソバカタレ」とよく言ったものだ。
 
 
 
291
 
クタブレル
疲れる、くたびれる
 
SK
C
 
 
クタブレテ ハヨー ネテシモータ
 
 
くたびれて 早く 寝てしまった
 
 
 
292
 
クチナオ(クチナワ)
 
SMHKZFN
A
 
 
ウラノヤマニャー クチナオガ エット オルドー
 
 
裏の山には 蛇が たくさん いるぞ
 
 
補足:
ヘビが「朽ち縄」つまり腐った縄のように見えることから、広島だけでなく全国的にそう言います。
 
 
 
293
 
クチオツムグ
[噤む(つぐむ)のメタテーゼ]
 
K
C
 
 
クチューツムガンニャー ナランノー
 
 
口をつぐまなければ ならないねえ
 
 
補足:
意味の部分に書かれている「メタテーゼ」とは「音位変換」といわれるもので、この語の場合、グとムとが
転倒している。メタテーゼで知られる例に「あらた(新)」が「あたら(新)しい)」になっていること。
 
 
 
294
 
クチベロ
くちびる
 
SMHFN
B
 
 
イツマデモ ツカットルケー クチベロガ アオイドー
 
 
いつまでも みずに入っているから くちびるが 青いぞ
 
 
補足:
広島弁として、一部の地域では唇ではなく「舌」をさすらしい。
 
 
 
295
 
'ツガワリー
具合が悪い
 
SMHKZGFN
A
 
 
エライ グツガワルーナッタノー
 
 
ひどく ぐあいが悪くなったねえ
 
 
補足:
283「グァイガワリー」が体の具合に対し、こちらは立場や状況などを指すが、明確な区別があるわけでもない。
 
 
 
296
 
クツグル
くすぐる(擽る)の訛語
 
SFN
B
 
 
クツバイーケー クスグルナヤー
 
 
くすばゆいから くすぐるなよ
 
 
関連:297「クスバイー」
 
 
 
297
 
クスバイー
くすぐったい
 
SMHKZFN
B
 
 
クスバイーケー モー シンサンナヤ
 
 
くすぐったいから もう しないでください
 
 
関連:296「クツグル」
 
 
 
298
 
'
かまど
 
SMHZG
A
 
 
クドノヒニ キーツケテ クレーヨ
 
 
かまどの火に 気をつけて くれよ
 
 
補足:
くど(竈)はかならずしも方言ではない。古語が地方に残ったたぐいの語。
 
 
 
299
 
'ビス
きびす、かかと
 
SHZG
A
 
 
クビスー クジータワイヤ
 
 
かかとを くじいたよ
 
 
補足:
西日本では「くびす」が多いとされる。共通語では「きびす」だが、後に「かかと」が一般となった。
余談だが「かかと」を「かがと」と言っていたが…。
 
 
 
300
 
グベンシャ
財産家
 
MHKZN
A
 
 
ソリャー グベンシャノ スルコトヨ
 
 
それは 財産家の することよ
 
 
補足:
「分限者(ぶげんしゃ)」の行訛。「金持ち」をさして言うこともあったが、現実には「財産家」と「金持ち」は
違っている。
 
 
 
301
 
'
小石
 
SMHZFN
A
 
 
セメントー ネルケー スナト グリュー モッテコイ
 
 
セメントを 練るから 砂と 小石を 持ってこい
 
 
補足:
造園に関して「ぐり石」という言葉もある。また貝の「ハマグリ」の語源が“浜の小石”に似ているから
という説もある。
 
 
 
302
 
クレンサイ
ください
 
SMHF
B
 
 
アリョー クレンサイヤ
 
 
あれを くださいよ
 
 
 
303
 
クワレル
噛まれる、刺される
 
F
C
 
 
ウラニワデ カニクワレテ カイーコトガ
 
 
裏庭で 蚊にかまれて かゆいことが
 
 
補足:
「喰われる」と同レベルだが、実際には虫に刺されることにも使った。