中国の ご 方言のことじゃなーんで


ここは、いわゆる広島弁の中でも呉地域の方言を集めたものです。胤森弘が書き残した
「呉方言50年の衰微」から使用例を抜粋し、私が方言を喋り 内容を補足しました。
「呉方言50年の衰微」とは記述での注意点著者・胤森弘と私呉方言の特徴

あ行か行さ行な行は行ま行や行ら行ワ/ン

  整理番号|呉方言('は強アクセント)|共通語で意味|資料記号|現代の使用頻度 A:知らない ~ C:よく使う

552
デカエル
出なおす
 
A
アシタ デカエテクルヨ
あした でなおしてきますよ
553
デキモン
はれもの(腫れもの)
 
SMHK
C
アシニ デキモンガデキテ ニガッテノー
足に はれものができて いたくてねえ
554
テゴ'
手伝い
 
SMHKZGFN
B
チーター テゴー シテ クレーヤー
すこしは 手伝いを して くれよ
555
'
人形
 
SNHKZFN
A
デコー アコニオイタラ メガレルド
人形を あそこに置いたら こわされるぞ
556
デコチン
おでこ、額(ひたい)
 
Z
B
ハシラニ デコチン ウッテ メカラヒガデタ
柱に おでこを 打って 目から火がでた
557
'サイ
外出好きな者
 
A
アイツァー デサイデ ショーガナイ ヤツジャ
あいつは 外出好きで 仕方がない やつだ
558
テショー
小皿
 
SMHKFN
A
コリョー イレル テショークレ
これを 入れる 小皿をくれ
559
テテッポッポー
すってんてん、すっからかん
 
MHZFN
A
テテッポッポーニ ナニガ デキルカ
無一文になった者に なにが できるのか(できない)
補足:
このナンセンスな言葉は最近は聞かないが、広島だけではない。ただし、他の地方では(ハトポッポと同意の)
鳩の鳴き声のようだ。
560
テニアワン
始末におえない(腕白)
 
SHF
A
ソリャー モー アンタニャー テニアワンヨ
それは もう あなたには 始末におえないよ
補足:
共通語だと「手に負えない」という。かならずしも子どもの腕白ではなかったろう。
561
テノハラ
手のひら
 
SHZ
B
テノハラー カエタヨーニ インデシモータ
手のひらを 変えたように 帰ってしまった
補足:
「てのひら(掌)」の訛りではなく「手の腹」ではなかろうか。用例の「カエタヨーニ」の部分(変えた…)は、
共通語では「かえしたように」(ひっくり返した/裏返した)という。
562
'ビ(デビチン)
おでこ、出額
 
SMKF
B
コツンシテ デビニ タンコブガデキタ
つきあたって おでこに こぶができた
563
テレンクレン
ぶらぶら
 
A
イツマデ テレンクレン スルツモリナラ
いつまで ぶらぶら するつもりなんだ
補足:
山口や広島の一部で「テレーグレー」という地があるようだ。広島ではないが「テレンパラン」とか「テレン
パレン」ともいう地方もある。
564
デンエ
分家
 
SMHZI
A
アカー ウチノデンエデノー
あそこ(あの家)は 私の家の 分家だよ
補足:
封建時代とその名残がある時代の言葉だから若い人は本家や分家を知らないだろう。ただ、現在でも年寄りの話
には過去の話として登場することがある。
565
テンカラボシ
直射日光に当たる、日照り干し
 
KGIFN
ABC
イチンチジュー テンカラボシニ サレタ
一日中 直射日光に 当てられた
566
デングリカエス
ひっくりかえす
 
F
B
アイツニ デングリカエサレテ ワヤニナッタ
あいつに ひっくりかえされて だめになった
補足:
人間がひっくりかえるのを「でんぐりがえる」と言うが、これは別の言い方になったのだろう。
567
テングルマ
肩車
 
SHZFN
A
ミエンケー テングルマー シチャローカ
見えないから 肩車を してやろうか
568
テンゴーヤク(テンゴーカク)
おせっかいをする
 
HFN
A
モー エーカゲン テンゴーヤクナヨ
もう いい加減 手出しをするなよ
補足:
こうしてみると「テンゴ」は「世話」のことであり、「テゴ」の「手伝い」と通じる言葉のようだ。
569
てんこつ
頂上、天頂、山頂
 
HKN
A
テンコツマデ ノボランニャー イケンノンカ
頂上まで 登らなければ いけないのか
550
テンデニ
おもいのままに、おのおの
 
SMH
H
テンデニ トッテタベンサイヨ
勝手に とって 食べなさいよ
補足:
共通語でも「てんでに(手に手に)」が「それぞれ/おのおの」の意味を持つが、こちらの方言ではややニュアン
スの違う使われ方もする。
551
テンマル
手鞠(てまり)
 
SHKFN
A
テンマルデ アソビヨラー
手鞠で 遊んでいるよ
補足:
手鞠といえば古風だが、ようは「ボール」のこと。